猫が肉食動物だと知っている方は多いと思いますが、実は肉だけでなく野菜を食べることもできる動物です。人間の感覚で考えると、野菜を食べることは栄養バランスの観点から良い習慣のように思えますが、人間と同じ野菜なら何でも食べられるとは限りません。

愛猫の健康のため、野菜を食べさせたいと考えている飼い主の方は、猫が食べてもいい野菜について理解を深めることが大切です。この記事では、猫が食べてもいい野菜の種類について触れつつ、食べさせ方や危険な野菜についても解説します。
1.そもそも「猫が食べてもいい野菜」はあるの? 多くの家庭において、愛猫に食べさせる食事として一般的なものは、猫に必要な栄養成分が過不足なく含まれているキャットフードでしょう。肉食動物に分類される猫は、人間と比較しても野菜の消化能力が高いわけではないため、メインとなる食材は肉になるはずです。しかし、あくまでも人間と比べて消化能力が低いだけであって、猫も野菜の消化自体は可能です。猫でも食べられる野菜は存在しているため、愛猫の栄養バランスが気になる場合は、食べさせてみてもよいでしょう。 2.猫が食べてもいい野菜の種類 猫が食べてもいい野菜は、スーパーなどで手軽に手に入るものも多く、野菜によってはおやつ感覚で与えることもできます。ただし、特定の野菜にアレルギーを持っている子もいるため、不安がある場合は獣医師に相談するようにしましょう。以下、猫が食べてもいい野菜について、主なものを表にまとめました。
野菜の種類 食べさせ方・注意点
きゅうり ●95%が水分で脂肪が少なく、生で与えて問題ない
●食感が楽しめる程度に小さく切って与える
水菜 ●火を通さず食べさせることができ、カリウムなどの栄養も摂取できる
●猫は繊維質が含まれる食べ物の消化が苦手な傾向にあるため、消化しやすいよう細かく刻んで与えること
レタス ●カルシウム・葉酸などの栄養が摂取でき、生で食べられる
●サニーレタスなど、レタスの種類によっては食べ過ぎると「結石」ができる原因になるものもあるため注意
アスパラガス ●アスパラギン酸などの栄養素が含まれる
●生では非常に固いため、細かく刻んで茹でて柔らかくしてから与えること
枝豆 ●たんぱく質・ビタミンなどをバランス良く摂取できる
●調味料を加えず、ミキサーで細かくして少量を与える
かぼちゃ ●ビタミン・カリウムなどの栄養素を摂取できる
●食べ過ぎは肥満になるおそれがあるため、おやつ程度の量にとどめる
●柔らかくなるまで加熱してから与え、種は取り除く
トマト ●抗酸化作用が期待されるリコピンを摂取できるが、生で与えると消化に悪いためスープなどにして与え、葉は与えない
●猫は酸味が苦手な傾向にあり、愛猫が嫌がるようなら無理に与えないこと
白菜 ●水分が多く、がん予防が期待されるイソチオシアネートの摂取も可能
●消化を考えて、生ではなく茹でたり蒸したりして与えるよう心がける
3.猫が食べてはいけない危険な野菜もある 飼い主が愛猫に野菜を食べさせる際は、猫の体に毒となる野菜を食べさせないよう注意する必要があります。これからご紹介する野菜に関しては、いかなる場合でも食べさせてはいけないため、万一食べさせてしまった場合はただちに獣医師に相談しましょう。 ネギ類 玉ねぎや長ねぎ・にら・にんにくなどといったネギ類は、猫の赤血球を破壊するとされる「アリルブロビルジスルファイド」が含まれており、食べさせると愛猫が貧血を起こす恐れがあります。ネギ類を含む野菜を煮込んだスープなどを作って与えるなど、煮汁を与えるのもNGです。 アボカド アボカドには「ペルシン」という毒が含まれており、猫に限らずすべての動物にとって害となる恐れがあります。もし口に入れてしまうと、嘔吐・下痢・呼吸困難といった症状が出る可能性があるため、アボカドが誤って猫の口に入らないよう保管場所を工夫することが大切です。なお、ペルシンは基本的に人間にとって無害とされる成分ですが、天然ゴムアレルギーを持っている人は有害になる場合があるため気を付けましょう。 ゆり根 人間にとっては高価なごちそうのゆり根も、猫にとっては命に関わるハイリスクな食べ物で、重度の腎機能障害を引き起こす恐れがあります。ゆり根に限らず、ユリ科の植物は花・葉などを食べても中毒を起こす可能性があるため、観葉植物などを室内に置いている家では注意が必要です。 4.猫が食べてもいい野菜の量とは 猫が野菜を食べること自体は問題なく、野菜の種類や食べさせ方に気を付けている限り、健康を害するリスクは低いでしょう。しかし、愛猫の栄養バランスを考慮するのであれば、猫のメインとなるご飯はキャットフードなどの総合栄養食とすべきです。キャットフードのトッピング・おやつとして野菜を与える分には問題ありませんが、その際の量は“1日の最適カロリー量の10パーセント以内”に抑えましょう。以下、猫の体重と1日に必要なカロリー量、野菜量の目安を表にまとめました。
体重 1日に必要なカロリー量 野菜量の目安
1日に必要なカロリー量の10%
1kg 98kcal 9.8Kcal以下
2kg 182kcal 18.2Kcal以下
4kg 266kcal 26.6Kcal以下
6kg 350kcal 35.0Kcal以下
8kg 434kcal 43.4Kcal以下
※このカロリー値はあくまで目安です。(参考:小動物の臨床栄養学 第4版)参考:https://www.ugpet.com/guide/cat/food/ingredient/calorie/calcまた、参考情報として、猫が生で食べても問題ないとされる野菜のカロリーをご紹介します。
主な野菜の種類 100gあたりの
カロリー
きゅうり 13kcal
水菜 23kcal
レタス 11kcal
※参考:【日本食品標準成分表(八訂)増補2023年】野菜類/きゅうり/果実/生・野菜類/みずな/葉/生・野菜類/(レタス類)/レタス/土耕栽培/結球葉/生総じて野菜はカロリーが低めのため、100g与えても目安のカロリー量を上回るリスクは低いものの、キャットフードが食べられなくなる量を与えないよう注意しましょう。 5.まとめ 人間の感覚で考えると、野菜は栄養価の高い優良な食べ物という印象がありますが、猫にとっては生きていく上で必須の食べ物ではありません。しかし、愛猫が野菜の食感などを気に入ってくれれば、野菜に含まれる有用な栄養素を摂取できます。その一方で、食べさせ方に注意が必要な野菜や、猫が食べると体調を崩す恐れがある野菜もあります。どんな野菜を、どんな調理法で、どれだけ食べさせるかについては、飼い主がしっかり考える必要があるでしょう。
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