猫はもともと砂漠に住んでいた動物ともいわれており、理想的とされる1日の飲水量は体重1kgあたり30~50ml程度と少量です。しかし、あまり水を飲まない猫は、脱水や尿路系の病気になるリスクが高まります。

愛猫の健康を考え、水をあまり飲まない子にミネラルウォーターを飲ませたいと考える方も少なくないようです。この記事では、猫にミネラルウォーターを飲ませる際の注意点について、水道水との違い・メリットに触れつつ解説します。
1.猫にミネラルウォーターを与えるのはNG? 猫の健康を考えた際、ミネラルウォーターを与え続けること自体は問題ないとされます。しかし、水の硬度が「硬水」に分類されるミネラルウォーターは、長期間にわたり飲ませ続けるべきではないと考えられています。研究によって明確に因果関係が証明されているわけではないものの、猫が硬水を飲み続けると尿路結石になる恐れがあります。愛猫に与えるミネラルウォーターを選ぶ際は、まず「軟水」に分類されるものを選ぶようにしましょう。ミネラルウォーターの硬度は、主に炭酸カルシウムの含有量によって、以下のように分類されます。<硬度の大まかな区分>
炭酸カルシウムの含有量 区分
60mg/L以下 軟水
60-120mg/L 中軟水
120-180mg/L 硬水
180mg/L以上 超硬水
※参考:厚生労働省|食品安全委員会「清涼飲料水評価書 カルシウム・マグネシウム等(硬度)」https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000178391.pdf市販されている水を購入する際は、パッケージに記載されている数値を確認し、硬度が60mg/L以下のものを選びましょう。 2.愛猫にミネラルウォーターを与える際のポイント 愛猫にミネラルウォーターを与えようと考えている飼い主は、猫の体に悪影響をもたらさないような種類のものを選ぶ必要があります。以下、水選びのポイントについて解説します。 pH値が中性の軟水を選ぶ pH(ペーハー)値とは、酸性・アルカリ性の度合いを示す尺度のことです。pH7が中性、pH7より低い値なら酸性、pH7より高い値ならアルカリ性に分類されます。猫は尿が酸性・アルカリ性のいずれに偏っても尿石ができやすい傾向にあるとされるため、pH値が中性の軟水を選ぶことが愛猫の健康管理につながります。 新鮮な水を与える ミネラルウォーターの多くは塩素消毒されておらず、長時間放置していると雑菌が繁殖してしまう恐れがあります。一度口を付けた水・容器には雑菌が繁殖しやすいため、こまめに容器内の水を取り替えるなどして、新鮮な水を与えることが大切です。 冷水は控える 冷蔵庫などに開封後のミネラルウォーターのボトルを収納している場合、温度設定によっては水がキンキンに冷えてしまっており、愛猫が冷水を飲むことでお腹を壊す恐れがあります。少量ずつパック分けされている商品を購入するなどして、できる限り“1回で使い切れる量”を常温で与えることをおすすめします。 3.愛猫がミネラルウォーターを飲まない時の対処法 愛猫向けのミネラルウォーターが見つかり、さっそく与えようとしたものの、なかなか愛猫が飲んでくれない場合はどうすべきなのでしょうか。以下、愛猫がミネラルウォーターを飲みたがらない場合の対処法をいくつかご紹介します。 水飲み器を変えてみる 水の飲み方は猫によって異なり、普段使っている器が合わないと感じている子は水を飲もうとしなくなる場合があります。水飲み器にも様々な種類があり、中には水を入れると味がまろやかになる器もあるため、愛猫に合うものを探してみましょう。 キャットフードを変えてみる ミネラルウォーターを飲ませるのではなく、水分含有量が多い「ウェットフード」を食べさせて、水を飲もうとしない子に水分を摂取させる方法もあります。ただし、一度開封すると品質劣化が早いため、できるだけ早めに消費させるようにしましょう。 給水器を使う 猫はたまっている水よりも流れている水を好む個体が多いため、給水機を使って水を飲ませる方法もあります。ろ過システムがついた自動給水器を選べば、衛生面でも安心して使うことができます。 4.愛猫に水道水を与えるメリット・デメリット 猫の中には、例えば蛇口から流れる水を好んで飲む子もいるため、愛猫に水を与える際は水道水も一つの選択肢として検討したいところです。以下、水道水のメリット・デメリットについてまとめました。
メリット デメリット
日本の水道水は多くの地域で軟水となっており、例えば東京都水道局によると東京の水道水のpHは7.5程度(※1)なので、安心して飲ませられる 匂いに敏感な子は嫌がって飲まないことがあるため、場合によっては浄水器などを使うことも想定しなければならない
塩素系の消毒剤によって、食中毒の原因となる細菌の混入や繁殖が抑えられている 水温が季節に左右されるため、ぬるい水や冷たすぎる水を嫌う子の場合、飼い主が温度を調整する必要がある
※参考:東京都水道局「よくある質問」水道水のpH(ピーエッチ)について教えてください。https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/faq/qa-22.htmlなお、愛猫がどうしても水道水に抵抗を感じるようであれば、軟水が飲めるウォーターサーバーを契約する方法もあります。水を宅配してくれるタイプのウォーターサーバーなら、停電時や断水時でも水を確保できるため安心です。 5.まとめ 愛猫にミネラルウォーターを飲ませる際は、尿路結石など体調不良につながるリスクを避けるため、炭酸カルシウムの含有量が60mg/L以下・pH値が中性の軟水を選ぶことが大切です。猫が一度でも口を付けた水・容器には雑菌が繁殖しやすいため、容器内の水はこまめに取り替え、飲みやすいよう常温で与えるようにしましょう。なかなか愛猫が水を飲んでくれない場合は、キャットフードを変えたり給水器を使ったりするのも一手です。より安全な水を飲ませたい場合は、愛猫が嫌がらなければ水道水を与えてもよいでしょう。
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