1.愛猫のデンタルケアは必要?猫の口腔内はアルカリ性であることから、人間と比較して虫歯になりにくいものと考えられています。しかし、歯の表面には歯垢が付着しやすいことから、これが将来的に歯石になってしまうと、歯周病につながる恐れがあります。歯周病など口腔内の病気は、口臭につながるだけでなく、炎症・潰瘍といった深刻な症状を招くこともあります。最悪の場合、腎臓や心臓にまで悪影響が及ぶことも考えられるため、愛猫と過ごす時間を少しでも長くしたいのであれば、普段からデンタルケアを習慣づけることが大切です。2.愛猫のデンタルケアの基本は「食事」と「歯磨き」愛猫の基本的なデンタルケアは、主に「食事」と「歯磨き」が中心となります。以下、それぞれのケアについて解説します。愛猫の食事に関するポイント愛猫の口腔内の健康を守るためには、まず普段の食事に配慮することが大切です。基本的にはドライフードを選び、食事中に歯の表面に摩擦を生じさせ、歯垢の除去・咀嚼(そしゃく)・歯茎への刺激に配慮するのがよいとされます。逆に、甘いものや人間が食べるものなどを与えることは、歯垢・歯石を増やす結果につながるため控えた方が賢明です。愛猫の歯磨きに関するポイント愛猫のデンタルケアにおいて歯磨きは重要なポイントですが、いきなり歯磨き・歯ブラシを受け入れられる子はまずいないため、飼い主は少しずつ愛猫に歯磨きに慣れてもらえるよう意識しましょう。愛猫を歯磨きに慣らすための、一般的なステップは以下の通りです。① 口の周りを触り、少しずつ歯・歯茎に触れていく
② 指にガーゼ・シートなどを巻き、歯と歯茎の表面を優しくなでる
③ 猫用の歯ブラシを使い、毛先を小刻みに左右に動かしながら磨いていくこれらの手順につき、愛猫が問題なくできたらおやつを与え、歯磨きが「自分にとって嬉しいこと」という経験をさせることが、歯磨きの習慣づけにつながります。なお、本来歯磨きは毎日すべきことですが、いつでも愛猫が歯を磨かせてくれるとは限らないため、最低でも2、3日に1回のペースで行うイメージで考えておくとよいでしょう。3.愛猫のデンタルケアを助けるグッズ愛猫がいつでも機嫌よく歯磨きをさせてくれるとは限らないため、飼い主としては色々なデンタルケアグッズを用意しておくと安心です。具体的には、次のようなグッズを状況に応じて利用したいところです。おもちゃ(噛むタイプ)愛猫が噛むだけでデンタルケアできるおもちゃは、歯磨きに対する抵抗感を減らすのに役立ちます。どちらかというと「おもちゃで遊ぶのが好きな子」におすすめです。ただし、おもちゃだけで十分なデンタルケアができるわけではないため、あくまでも歯ブラシへの移行期間に使用するイメージで考えておきましょう。歯磨きおやつおやつの中には、歯磨き効果が期待できるものがあり、硬い食感のスナックタイプやガムタイプ、ジャーキータイプなどがあります。また、普段食べるフードに振りかけるタイプもあるため、愛猫が違和感を覚えにくいものを選ぶことをおすすめします。液体歯磨き液体歯磨きとは、主に普段与える水に加えて与えるタイプの歯磨きのことをいい、ケアがスムーズに行えるのが特徴です。愛猫の口の中にスプレーするタイプのものもあり、いずれもデンタルケアの手間が省ける点がメリットです。歯磨きジェル人間と同様に、歯磨き向けのジェルやペーストを使用することで、猫が歯磨きに興味を示してくれる可能性があります。チキン味のように、猫が好きなフレーバーが付いている商品が多く見られるため、愛猫の好みに応じて選びましょう。4.愛猫のデンタルケアを怠るリスク愛猫のデンタルケアを怠ると、人間よりも早いスピードで歯周病になってしまう恐れがあるため注意しましょう。例えば、猫の歯に付いた“食べかす”は、早ければ数時間で歯垢に、1週間経過すると歯垢は歯石に変化すると考えられています。歯垢や歯石が蓄積されると、歯茎が腫れて歯と歯茎の間に溝ができ、痛みや出血・口臭といった形で歯周病の症状が出る恐れがあります。猫の歯周病治療は全身麻酔をしなければならないケースが多く、手術ともなれば手術代が高額になるだけでなく、愛猫の身体にも負担がかかってしまうことでしょう。また、歯周病は歯の周囲の骨・歯肉を破壊する病気であることから、一度かかると自然には治らないとされている点も脅威といえます。飼い主は、これらの点に注意して、毎日のデンタルケアを丁寧に行う必要があります。5.まとめ飼い主による愛猫のデンタルケアは、歯周病予防の観点から重要です。定期的に歯磨きができるよう訓練することはもちろん、食事をドライフード中心にするだけでも、歯垢の除去を促すことが期待できます。ただし、多くの猫にとって歯磨きは抵抗を感じやすい行為のため、必要に応じておもちゃ、歯磨きおやつ、液体歯磨き、歯磨きジェルなどのグッズも併用することをおすすめします。飼い主は、愛猫のデンタルケアにどれだけ情熱を注げるかが、愛猫の寿命を延ばすことにつながるものと心得ましょう。