一般的に、ペットとして飼われている犬は総合栄養食を餌として摂取しますが、体調不良や病気などの理由から療養食(療法食)を摂ることがあります。療養食は、特定の体調・病状等に適した栄養バランスとなっているため、健康な子が常食するには適しません。

また、一口に療養食といっても様々な種類があることから、飼い主が独自の判断で療養食を与えるべきではないとされます。この記事では、愛犬に餌として療養食を与える際の注意点について解説します。
1.犬に餌として与えられる療養食(療法食)とは 療養食(療法食)とは、愛犬の病気・健康状態に対応できるよう、特別に栄養バランスを調整したドッグフードのことをいいます。人間の場合も、現在療養中の病気に対して適した栄養状態にするため療養食を摂ることがありますが、それと同じようなイメージで捉えると分かりやすいでしょう。愛犬の体調がすぐれず療養食を与える場合、その症状に応じて栄養素を増やしたり減らしたりする必要があり、普段与えているドッグフードから療養食に切り替えることも珍しくありません。治療のための食事管理は原則として飼い主が行うことですが、愛犬の体調にマッチする餌を自力で探したり、手作りで食事を用意したりするのは簡単なことではありません。そこで、愛犬の体調に適した栄養バランスの療養食が販売されており、愛犬の病気・症状に応じて療養食を与えるケースが多く見られます。 2.愛犬に療養食(療法食)を与える際の注意点 療養食(療法食)そのものは、いわゆる医薬品に該当するものではありませんが、ある意味では総合栄養食に比べて栄養に“偏り”が生じています。そのため、愛犬に餌として与える場合、以下の点に注意が必要です。 必ず獣医師の指導を受ける 療養食を愛犬に餌として与える場合、大前提として「獣医師の指導を受けてから選ぶ」というルールは必ず守るようにしましょう。療養食の多くは、実店舗でもWeb上でも比較的簡単に購入できますが、基本的に健康な子の健康管理に向いている食事ではありません。愛犬の健康に配慮するのであれば、獣医師から教えてもらった療養食を選ぶようにしてください。 切り替えは時間をかけて行う これまで食べていた餌を療養食に切り替える場合、それがもとで愛犬が体調を崩すこともあります。胃腸に負担をかけないよう、最初のうちは通常のフードにトッピングする形で与え、徐々に療養食の割合を増やすとよいでしょう。ただし、継続的に療養食と通常のフードを与えるかどうかは、獣医師に相談してから判断することをおすすめします。 継続的に診察を受ける 療養食は一度決めたら同じものを与え続けるとは限らず、体調次第で別の療養食に切り替えたり、いったん療養食を終了したりすることもあります。定期的に動物病院で診察を受け、愛犬の体調を確認しながら療養食を与えましょう。 3.愛犬の餌になる療養食(療法食)の種類 一口に療養食(療法食)といっても色々な商品があり、どのような効果を期待するのかによって、選ぶ療養食の種類も変わってきます。ここでは、市販されている主な療養食の種類をいくつかご紹介します。
種類 特徴
慢性腎臓病 リンとたんぱく質が制限されている、腎臓負担軽減のためオメガ3脂肪酸を配合している など
尿結石 マグネシウムやカルシウムなどのミネラルや、たんぱく質の量などを制限している など
アレルギー 食物アレルギーの原因として認識されにくい原材料を使用している など
皮膚疾患 皮膚や被毛の健康維持に役立つ栄養素として、オメガ3脂肪酸やビタミン類などを多く配合している など
消化器疾患 食物繊維を増やしたり、消化されやすい原材料を使用したりしている など
心臓病 ナトリウムの含有量が制限されている など
慢性肝機能低下 たんぱく質の質を高めつつ、量を制限している など
高脂血症 低脂肪で必須脂肪酸が増強されている など
肥満 体重管理のためエネルギー量を制限している など
栄養回復 消化が良くエネルギー・栄養が豊富
関節疾患 オメガ3脂肪酸、EPA、ビタミンEなどの栄養素が含まれているものが見られる
口腔疾患 犬が噛んだ際に歯表面の歯垢がこすり取れる構造になっている、カルシウムが制限されている など
いずれの療養食も、それぞれ栄養や構造の面で総合栄養食と異なる特徴を持つため、愛犬に与える際は獣医師に必ず相談しましょう。 4.愛犬が療養食(療法食)を食べないときは? どうしても愛犬が療養食を食べてくれない場合は、飼い主の側で愛犬が食べやすいよう工夫することが大切です。次のような方法を試すと、愛犬が興味を持ってくれる可能性があります。 加熱する 療養食を電子レンジで温める、ぬるま湯にひたすなどの方法をとると、匂いなどで愛犬の食欲を刺激することにつながります。ただし、熱くなり過ぎないよう、与える前に飼い主が指などで「体温ほどの温かさ」になっていることを確認してから与えましょう。 愛犬の好きな匂いをつける 愛犬の好きな食べ物の匂いをフードにつけると、療養食そのものの栄養は損なうことなく、愛犬の食欲を刺激できます。使い捨てのお茶パックなどを使うと、香りだけをつけるのに便利です。 シチュータイプを選ぶ 工夫しても愛犬がなかなか療養食を食べてくれないときは、獣医師に相談した上でシチュータイプの療養食に切り替えるのも一手です。健康面での悩みが複数ある場合などは、シチューを療養食にトッピングするケースもあり、愛犬の好みによって肉の種類を変えられる商品も見られます。 5.まとめ 療養食(療法食)は、人間と同様「愛犬の体調・病気に対して適した栄養状態」を実現するためのドッグフードです。療養食選びは愛犬の健康に影響を及ぼすことから、決定時は飼い主が独断で決めず、獣医師に相談してから選ぶ必要があります。また、体調の変化とともに与える餌の種類も変わることが予想されるため、定期的に診察を受けさせることも大切です。愛犬が療養食を食べてくれないときは、温めたり匂いを工夫したりして対処しましょう。
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