秋田犬は、古くから狩猟犬として日本人の生活を支え、日本犬の中でも最初に天然記念物として指定された貴重な犬種です。その飼い主に対する一途さから、日本のみならず、世界中に秋田犬の愛好家が存在します。

性格としては、その賢さや我慢強さが広く知られており、家族としっかり信頼関係を築ければ、生涯にわたり素晴らしいパートナーとなってくれるでしょう。

今回は、そんな秋田犬の特徴や、飼う際の注意点について解説します。
1.秋田犬の性格 秋田犬と聞くと、亡くなった主人を駅で待ち続ける「忠犬ハチ公」を思い浮かべるかもしれません。そのイメージ通り、しっかり育てれば家族と深い信頼関係を築けますが、周囲を警戒する性格も備えているため注意が必要です。 飼い主・家族を大切にする 秋田犬は忠誠心が高く、古くから飼い主に忠実な家庭犬として知られています。基本的に身内に対しては温和な性格をしており、飼い主・家族を大切にする傾向が見られます。 賢くて我慢強い とても賢い犬種で、我慢強さも兼ね備えているため、飼い主と心を通わせることで素晴らしいパートナーに成長してくれる可能性を秘めています。自立心があり、人間が考えていることを理解して自ら行動する子もいるほどで、その分飼い主がしっかりしていないと裏をかかれてしまうこともあります。 警戒心が高い 秋田犬は、飼い主や家族など親しい人間以外を警戒しやすく、その性質から番犬に向いているとされます。しかし、きちんとしつけがされていない子は、周囲の人に噛みついたり、暴れたりすることがあります。また、突然の大きな音・高い音などを聞くと興奮する傾向が見られるため、小さな子どもがいる家では特に注意して飼わなければなりません。 2.秋田犬の特徴 可愛らしいルックスの秋田犬ですが、サイズは大きいため、飼い主は周囲に与える影響を考慮して飼う必要があります。以下、秋田犬の大きさ・種類など、特徴的な部分を解説します。 体高・体重 秋田犬は、日本犬で唯一大型犬に分類されています。オスとメスで体格差があり、オスは体高64~70cm・体重45kg前後、メスは体高58~64cm・体重38kg前後となっています。首は太く、腰も幅広で骨太の体型をしており、背中側に向かって巻いている太いしっぽがトレードマークです。 毛色 毛色は赤・虎・白・胡麻の4色に分類され、赤の毛色が多く見られます。単色の白毛以外は、下あごから胸とお腹にかけて入る「裏白」が特徴です。硬くて真っ直ぐな上毛と、柔らかく密な下毛に覆われているため、耐寒性は強い子が多いでしょう。 ルーツ 秋田犬のルーツは、マタギと呼ばれる東北地方・北海道で狩猟を生業としてきた人々が、シカ・イノシシ・クマを狩る際に連れていた「マタギ犬」といわれています。その後交配によって大型化し、1931年に天然記念物に指定されました。 3.秋田犬との暮らし方 秋田犬は、体力のある元気な犬種のため、飼い主は愛犬が元気に過ごせるよう気を配りましょう。以下、秋田犬と暮らすために知っておきたい基礎知識についてご紹介します。 食事 狩猟犬をルーツに持つ秋田犬は、基本的に活動的な犬種です。ドッグフードは良質な肉や魚を主原料にしたものを選びたいところです。具体的には、動物性原料の使用割合が全体の50%以上のもので、消化性がよく脂質が少ないものが望ましいでしょう。 散歩・運動 秋田犬に必要な運動量としては、1日に1~2時間程度の散歩が目安となります。基本的にタフでスタミナがあるため、ドッグランも使いつつエネルギーを発散させることが大切です。また、秋田犬は寒さに強く暑さに弱い犬種なので、運動をさせる場所の気温・気候に注意しましょう。 普段のお手入れ 秋田犬の被毛は短毛ですが、密集して生えているため、ブラッシングは毎日丁寧に行いましょう。換毛期という抜け毛が増える期間が年に2回あるので、この時期はブラッシングで抜け毛をしっかり取り除くようにします。シャンプーは月1~2回行い、皮膚病を避けるため、被毛の根元までしっかり乾かすことが大切です。爪切りは月1~2回、歯磨きは毎日行います。 4.秋田犬の飼い方のコツ 迎え入れた秋田犬といつまでも楽しく過ごせるよう、飼い主は以下の点に気をつけましょう。 しつけ 飼い主・家族と犬との間に、強固な信頼関係を構築するのが、秋田犬のしつけにおいては特に重要です。ダメなことはダメだとしっかり教えることが大切なので、家族全員が一貫してルールを確認しながらしつけていく必要があります。小さい頃から、たくさんの人・犬と触れ合うようにして、友好性を養うことも大切です。また、子犬の時期から様々な環境に慣れさせると、精神的な成長を促すことにつながります。 特定犬種の登録 秋田犬は大型であることから、自治体によっては「特定犬種」として指定されていることがあります。その場合、秋田犬を飼う際に届出をするなど、規定を守って飼うことが求められます。 注意点 その他、秋田犬と暮らす際は、以下の点に注意しましょう。 股関節への負担 股関節形成不全などの関節に関するトラブルは、秋田犬を飼う上で特に注意したいポイントです。滑りやすいフローリングの床を日常的に走り回る環境だと、症状が出やすくなるため注意が必要です。家の中ではカーペット・フロアマットを利用し、傾斜が急な場所・高低差の大きい場所には柵を設置するとよいでしょう。 様子をよく見る 秋田犬は我慢強いので、病気の症状が出ていても飼い主が気付きにくい傾向にあります。普段と違う様子が見られたら、動物病院に相談して、胃捻転や緑内障などを患っていないかどうか確認しましょう。 5.まとめ 秋田犬は、賢くて我慢強く、忠誠心の高い犬種のため、小さい頃から飼い主と心を通わせれば、大切な家族となってくれるでしょう。しかし、他の人や外の環境に対しては警戒心が強い傾向にあり、周囲に迷惑をかけないよう、子犬のうちから社会性を養うようなしつけをすることが大切です。マタギのパートナーとして活躍してきた、歴史がある犬種ということもあり、大柄でスタミナは十分です。暑い場所を避けて、散歩やドッグランで積極的にコミュニケーションをとりましょう。
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